|
オレは馬鹿が嫌いだ。
その馬鹿を自分の身を挺して守らなければいけないなんて絶対に嫌だ。
しかし。
オレはその馬鹿を守る為に、殺人兵器として育てられた。
命令は絶対だ。
全てを叩き込まれたオレは仕方なしにその馬鹿の護衛についた。
だが。
馬鹿は馬鹿でしかない。
ソイツは鼻息荒く、ニヤけた顔でオレを襲ってきたのだ。
自分の力量も知らずに………。
反吐がでる、とはこのことだろう。
オレは腰におさめていた拳銃を素早く取り出し、上に乗ってきた男の心臓に銃口を押し当て躊躇うことなく引き金を引いた。
馬鹿の血で服が汚れたことに溜息を吐き、オレは男を蹴っ飛ばして退かせた。
銃弾の音で数人の足音が近づいてきた。
オレは銃をテーブルに置いて椅子に腰を下ろしその時を待った。
殺されている男を見るや否や、駆けつけた者達がオレに銃口を向けた。
それらを一瞥し、オレは目蓋を閉じた。
命令に背いた者は死。
覚悟は出来ていた。
だが。
その覚悟はまだ早かったらしい。
銃口を下ろせ、との命が下ったからだ。
§ §
オレは地下牢らしき所に放り込まれた。
拳銃をオレに放り投げて年長者らしき男が言った。
「死なすには惜しい腕だからな。ここでお前の腕を揮わせる」
服を全て脱ぐよう命じられ、着替えと渡されたのは男物の白のワイシャツと下着はショーツのみ。
「それがお前の戦闘服だ。いいか。お前を襲ってくる奴は全て敵だ」
「敵?」
「そうだ。お前に触れる前に殺せ」
それがお前の仕事だ、と命じて男は部下を引き連れて地下牢を出て行った。
拳銃を掲げ、銃弾を確認する。
ドイツ製の自動拳銃。
カシャン、と音をたてそれを拳銃におさめる。
― 触れる前に殺せ ―
それはこの部屋に入ってきた者は排除せよってことだよな。
馬鹿を自分の身を挺して守らなくていい。
自分を守る為に、殺す。
それがオレの仕事。
うん。
馬鹿を守って死ぬよりも断然いい。
オレは目蓋を閉じ、口の端を上げた。
「早くこねーかなー。オレの獲物」
部屋の中央に置かれたベッドに腰を下ろし、ショーツとワイシャツを羽織った。
前のボタンは二つだけ止めて。
ベッドに乗り上がり、ヘッドに背を預けてオレは鉄のドアを見つめ、薄っすらと笑った。
〜続きはオフにて〜
|