| 「なあ」 「ん?」 「すっごく、視線を感じるんだけど」 「気のせいだろう」 気のせいじゃねーっつーの! エドワードは目だけを動かし、周囲を見渡した。 場所はショッピング街。 ロイと一緒にウインドーショッピングの最中なのだが………。 先ほどから行き交う人から痛々しいほどに視線が感じるのだ。 だから、嫌だったんだ! 髪を切るなんて。 顔を見せるなんて。 服を変えるなんて。 でもでもでも! それもこれも。 キッと隣に立つロイを見上げて。 コイツを撮る為! でも。 だけど! 「この服なんかどうかな?」 ガラス越しにロイが問う。 「あ?」 顔をウインドーに向ければ、そこには可愛らしいピンクのワンピース。 ………コイツ、本気で言っているのか? 「似合うわけが無いだろう。それに、スカートじゃなくてズボンの方が動きやすい」 却下、と告げれば、ロイは詰まらないとぼやく。 「おい!」 「綺麗な足を持っているのに隠すのかね」 「隠すって綺麗じゃない!」 「そう思っているのはエディだけだよ」 「そんなことない!」 「あるね。じゃ証明してあげるよ」 ニッコリと笑って、ロイはエドワードを引き連れて、店に入った。 「いらっしゃいませ」 笑顔で店員に迎えられた。 ロイは笑顔で会釈して、店内の奥に足を進めた。 ハンガーに掛けられたスカートやワンピースを見ていく。 気に入ったものは手にとって、腕に掛けて。 「エディ」 傍で呆気にとられているエドワードを連れて、フィッティングルームに手に取った服と一緒に放り込んだ。 「ロイ!」 「まずはこれに着替えなさい」 オフホワイトの総レースワンピースを手渡せば、エドワードは断固拒否した。 「い、嫌だ!絶対に似合わない!!」 「それは着てからいいなさい」 それだけを言い残して、ロイは扉を閉めた。 「ま、マジかよ」 手渡されたワンピースを眺めて。 「似合わないよ」 絶対に………。 「っつ!あああー!もう!!」 着てやる! ああ、着てやるともさ!! そして。 似合わないことに驚きやがれ!! 逆切れをしたエドワードは服を脱ぎ捨て、ワンピースに着替えて。 「これでどうだ!」 バン、と扉を開ければ、ロイは目を見開き、満面の笑顔を見せた。 「ほら、似合うじゃないか」 褒め称えながら、エドワードに歩み寄り、着替えたときに跳ねた髪を整えて、傍に置いてあったサンダルを足元に置いた。 「さ」 右手を差し出すロイの手を取り、エドワードはサンダルを履いて、等身大の鏡の前に立った。 そこには見慣れない自分がいて。 誰だよ。 これ………。 頬をほのかに染め、白くてほっそりとした両腕と足を晒していた。 「どうだい?」 「………自分じゃないみたいだ」 服一つで雰囲気が変わるのは知っていた。 でも。 自分は当てはまらないと思っていた。 思っていたのに。 「キミは磨けば磨くほど、綺麗になる。私が保証するよ」 「別に、綺麗になりたくないし」 「それは勿体無いぞ」 「勿体無くは」 「勿体無いよ。エディ自身、ダイヤの原石なんだから」 鏡越しに見つめあいながら、ロイはエドワードの背後から抱きしめた。 「もっと、綺麗になって」 「ロイ」 「いや、綺麗にするよ」 甘く耳元に囁き、口付けた。 と、同時に。 悲鳴が店内に響いたのは言うまでも無い。 − 続 − 08/06/27UP |