□ 続・目を背けることができない真実 2 □










「なあ」
「ん?」
「すっごく、視線を感じるんだけど」
「気のせいだろう」

 気のせいじゃねーっつーの!

 エドワードは目だけを動かし、周囲を見渡した。
 場所はショッピング街。
 ロイと一緒にウインドーショッピングの最中なのだが………。
 先ほどから行き交う人から痛々しいほどに視線が感じるのだ。

 だから、嫌だったんだ!
 髪を切るなんて。
 顔を見せるなんて。
 服を変えるなんて。

 でもでもでも!

 それもこれも。

 キッと隣に立つロイを見上げて。

 コイツを撮る為!
 でも。
 だけど!

「この服なんかどうかな?」

 ガラス越しにロイが問う。

「あ?」

 顔をウインドーに向ければ、そこには可愛らしいピンクのワンピース。

 ………コイツ、本気で言っているのか?

「似合うわけが無いだろう。それに、スカートじゃなくてズボンの方が動きやすい」

 却下、と告げれば、ロイは詰まらないとぼやく。

「おい!」
「綺麗な足を持っているのに隠すのかね」
「隠すって綺麗じゃない!」
「そう思っているのはエディだけだよ」
「そんなことない!」
「あるね。じゃ証明してあげるよ」

 ニッコリと笑って、ロイはエドワードを引き連れて、店に入った。

「いらっしゃいませ」

 笑顔で店員に迎えられた。
 ロイは笑顔で会釈して、店内の奥に足を進めた。
 ハンガーに掛けられたスカートやワンピースを見ていく。
 気に入ったものは手にとって、腕に掛けて。

「エディ」

 傍で呆気にとられているエドワードを連れて、フィッティングルームに手に取った服と一緒に放り込んだ。

「ロイ!」
「まずはこれに着替えなさい」

 オフホワイトの総レースワンピースを手渡せば、エドワードは断固拒否した。

「い、嫌だ!絶対に似合わない!!」
「それは着てからいいなさい」

 それだけを言い残して、ロイは扉を閉めた。

「ま、マジかよ」

 手渡されたワンピースを眺めて。

「似合わないよ」

 絶対に………。

「っつ!あああー!もう!!」

 着てやる!
 ああ、着てやるともさ!!
 そして。
 似合わないことに驚きやがれ!!

 逆切れをしたエドワードは服を脱ぎ捨て、ワンピースに着替えて。

「これでどうだ!」

 バン、と扉を開ければ、ロイは目を見開き、満面の笑顔を見せた。

「ほら、似合うじゃないか」

 褒め称えながら、エドワードに歩み寄り、着替えたときに跳ねた髪を整えて、傍に置いてあったサンダルを足元に置いた。

「さ」

 右手を差し出すロイの手を取り、エドワードはサンダルを履いて、等身大の鏡の前に立った。
 そこには見慣れない自分がいて。

 誰だよ。
 これ………。

 頬をほのかに染め、白くてほっそりとした両腕と足を晒していた。

「どうだい?」
「………自分じゃないみたいだ」

 服一つで雰囲気が変わるのは知っていた。
 でも。
 自分は当てはまらないと思っていた。

 思っていたのに。

「キミは磨けば磨くほど、綺麗になる。私が保証するよ」
「別に、綺麗になりたくないし」
「それは勿体無いぞ」
「勿体無くは」
「勿体無いよ。エディ自身、ダイヤの原石なんだから」

 鏡越しに見つめあいながら、ロイはエドワードの背後から抱きしめた。

「もっと、綺麗になって」
「ロイ」
「いや、綺麗にするよ」

 甘く耳元に囁き、口付けた。
 
 と、同時に。

 悲鳴が店内に響いたのは言うまでも無い。




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   08/06/27UP