| 朝、鏡を見て。 「行きたくない」 「何処に?」 「仕事に」 「何故?」 首を傾げて問うてくるロイに、エドワードはグリンと顔を振り返し。 「お前の所為だろうが!」 「髪を切って、肌の手入れをしただけだろう」 そう。 ばっさばさにのびていた髪をばっさりと切られたのは昨日のこと。 顔を覆っていた前髪が無くなり。 背中まであった後ろ髪は首が見えるほど短くなって。 軽いことこの上ない。 その上、荒れていた肌のケアまでしてくれた。 の、だが。 「せ、せめて眼鏡を」 「駄目だ」 「な、なんで?!」 「伊達眼鏡なんてかける必要はないだろう」 こんなにも可愛いのに、とロイは横髪を掬い上げて微笑む。 けれど、エドワードは納得いかないとばかりにムスッとして。 「嬉しくない」 目の前のロイを睨みつけた。 そんなエドワードにロイは微笑して。 「取引、だろう」 「ヴッ」 「私を好きにしていい代わりに、エディを私好みに変身させる」 「そ、それはそうだけど―………」 「そのうちになれるさ」 嫌でもね。 「ヴ〜〜〜」 「で、仕事は何時からだ?」 「えっと午後一時から」 「まだ時間があるな。出かけるぞ」 「へ?」 「服を買いに行くと言っている」 「え、は、な?!」 「クローゼットを確認したが、どれもこれもババくさい色にキミに似合わない服ばかり」 「ババくさくて悪かったな!」 「破けているものまであったぞ」 「そういう服なんだよ!」 「違うな。あれは着破けた痕だ」 「ぐっ」 「ジーンズもサイズがまばらだ」 「穿けたらなんでもいいんだよ!」 その言葉にロイは呆れた顔を見せて。 「良くない。古着で適当に買うのは止めなさい」 と、いうことで。 「行くぞ」 エドワードにシャツとジーンズを着替えさせてから、嫌がる金を引きずるようにしてロイは部屋を出た。 − 続 − 08/06/27UP |