□ 私の猫 3 □










 お腹が空いたと肩口で呟きながら項垂れている猫ことエドを抱きながらロイは邸に着いた。
 リビングのソファにエドを寝かせロイはキッチンに足を向けた。

「さて、何かあったかな?」

 冷蔵庫を開けるとそこにはハムと卵そして酒。

「オムレツが作れるな」

 卵とハムを取り出し、フライパンを片手に調理を始めた。

 それから数分後。
 
 右手にはパンが盛られた籠、左手には型崩れのオムレツをのせた皿を持ってリビングに足を向けた。
 すると。
 ソファで死ぬような顔で横たわっていたエドが嬉しそうな面持ちでロイを待っているではないか。

「エド・・・・・」
「ロイ、早く早く!」
「はいはい」

 なんとも現金なエドにロイは苦笑を誘われテーブルの上に籠と皿を置いた。

「ナイフとフォークは籠に入っているから」

 と、ロイが言い終わる前にエドは勝って知ったるやでナイフとフォークを籠から取り出し「いただきます」と言うと同時に食べ始めた。
 そんなエドにロイは呆気にとられた。

 ・・・・・・いつから食べてないんだ?
 噂が流れ出したのは・・・・一ヶ月前か。
 まさか一ヶ月も食べてないわけは・・・・・・・・ないよな。

「エド」
「ふぐ?」

 口いっぱい頬張りロイを見上げる。

「いつから食べてないのかね」 
「んふはれへ」
「・・・・・・口の物を食べてから言いなさい」

 エドは頷き食べ物を流し込むように飲み込んだ。

「エド、噛んで食べなさい」
「ごめん。えっと一ヶ月かな。食堂みたいな所には行ったんだけど・・・・見つかって・・・・追いかけられたから・・・・」

 少し青ざめた面持ちのエドにロイはすまなそうに金の髪に触れて。

「そうか。すまないね」
「何故ロイが謝るんだ?ロイは何も悪くないよ。オレが勝手にアソコへ入ったから」
「エドは悪くない」
「でも!」
「怖い思いをさせたね。すまない」
「!」

 謝罪の言葉とともにロイはエドを抱きしめた。

「ロ、ロイ?!」
「これからはここに住むと良い。だれもエドを追いかけもしないから」

 ロイの言葉に打たれたように顔を上げて。

「・・・・・・いいの?迷惑じゃない?」
「迷惑じゃないよ」
「オレ、化け物だよ」
「どこが?」
「み、耳と尻尾があるし」
「ああ、飾りのように可愛いね」
「か、飾りじゃない!本物の耳と尻尾なんだよ!!」
「そうだとしても私には可愛い飾りとしか見えない。それに」

 そっとエドの頬を撫でるように添えて。

「エドはエドだろう」
「っ!」
「違うかい」
「ち、ちがわないっ」

 眦から涙をポロポロと流しロイに縋り付く。
 エドの後頭部を優しく撫でて。

「今日から宜しく。エド」

 ロイの言葉にエドは頷いて答えた。
 それからお腹もいっぱいになりエドはロイとともに風呂に入ることになった。
 そこでロイは驚愕を露にエドの裸体を見詰めた。

「エ、エド・・・・キミは女の子だったのかい」
「そうだよ」

 何を今更といわんばかりにエドはロイを見詰めた。
 ロイは言葉を無くし、その場で項垂れた。


 ロイの苦難は始まったばかりである。





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   04/07/02UP