| いつも一人でお留守番をしてくれているエドにご褒美として、チョコレートを手土産に家に帰った。 「チョコ!」 「おや、わかるかい?」 「うん」 甘い物が大好きなエドは尻尾を忙しなく振って両手をロイに伸ばす。 苦笑しながらロイは小さな手に箱を置いた。 「食べてもいい?」 「ああ、構わないよ」 ロイの了承を得たエドは目を輝かせて包み紙を剥し、箱の蓋をあけた。 その途端、鼻を擽るのは甘い甘い匂い。 頬を緩めて餃子の形をしたチョコを一粒手にし、それを頬張った。 すると、それは口の中でゆっくりと蕩けていくではないか。 「これ、いつものチョコじゃない」 「おや、わかるのかい?」 軍服の上着を脱いだロイがエドの傍に腰を下ろした。 「これは特別に作ってもらったんだ」 「特別?」 「そう、毎日いい子でお留守番しているからね」 そのご褒美だよ、とエドの頭を撫でながら言った。 「オレ、いい子?」 「ああ」 「ロイの役にたってる?」 「もちろん、家事全般してもらえて助かっているよ」 手触りのいい猫耳を優しく撫でれば、気持ちいいのかゴロゴロと喉を鳴らす。 「さて、夕食は食べたのかい?」 「まだだよ。ロイを待っていたから」 「そうか。じゃ食べよう」 「うん」 そうして。 楽しく美味しい夕食を終え、ロイは風呂に入った。 その間、エドは食器を片付けてココアでも飲もうかと牛乳を取り出す。 「あ」 そうだ。 さっきのチョコ。 リビングのテーブルに置いていたチョコを思い出し、唾を嚥下した。 一つならいいよな。 牛乳を冷蔵庫に戻し、エドはリビングに足を向けた。 「エド………」 風呂から上がってきたロイは呆れながらソファに座りチョコを頬張っているエドに声かければ、少女はビクッと一瞬身体を震わせて恐々と振り返った。 「夜に甘い物は駄目だと言っただろう」 「ご、ごめんなさい。一つならいいかな〜と思って」 「一つ、ね」 テーブルの上に置いている箱に視線を向けると十個入っていたチョコは残り三つ。 「エド」 「ご、ごめんなさい」 ビクビク、と身体を震わせて謝罪するエドにロイは一つ溜息を落として。 「そんなに萎縮することないよ。美味しかったのだろう」 「う、うん。すっごく」 「嬉しいよ。また、買ってきてやりたいけど」 「?」 ロイは顎に手をあて、困ったような顔をして。 「こうして夜にチョコを食べ続けるとエドが太ってしまって、一緒に寝れなくなるかもしれないな」 「一緒に寝れない?どうして」 「ぶくぶく太って私の腕に入りきれないからだよ」 「太る?ぶくぶく?」 首を傾げるエドにロイは頷いた。 「そう」 「太るって?」 「身体が丸くなるんだよ」 「丸く?」 「そう」 オレが丸く? 想像してみるが、いまいちわからなくてエドは困惑気味にロイを見上げた。 「例えば、ブレダ少尉のように、と言えばわかるかい」 「ブレダしょーい」 大きな顔。 大きなお腹。 大きなー………。 想像すればするほど、エドは顔を真っ青になっていった。 「い、いやだ!」 「エド」 「やだ!!ロイの腕で寝れないのはやだ〜〜〜」 半泣き状態でエドはロイに抱きついた。 「エド、ほら、大丈夫だから」 ちょっと脅かしすぎたか。 ロイの肩に顔を埋めて泣くエドの背中をぽんぽんと優しく叩く。 「も、もう、夜にチョコは食べない〜〜〜」 「エド」 「だ、だから、これからもエドと一緒に寝て〜〜〜」 「エド………もちろん、これからも一緒だよ。さ、風呂に入ってきなさい」 エドを下ろし、風呂に促せば不安そうな顔でロイを仰ぎ見た。 「寝室で待っているから」 涙を指で拭い、額に口付ければエドは頬を薄っすらと赤く染めそれから可愛らしく微笑んでから、風呂場に足を向けた。 その背を見送って、ロイは口元を手で覆い。 「はぁ〜〜〜参った」 何であんなに可愛いんだ。 頬を緩めてロイは寝室に足を向けた。 END 07/01/19UP |