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てなわけで。
片思いから晴れて両思いになりマスタング先生と恋人となったオレことエドワード・エルリックは毎日が幸せ!
でも。
一つだけ気になることがある。
それは………。
「え?先生の家」
机に向いながらエドワードの相談を受けているのは弟のアルフォンス。 「ロイと付き合いだして約一ヶ月、にも関らずオレはロイの家に呼ばれたことがないんだ。おかしいだろう」 「おかしいのかな?」 「絶対におかしいって!」 「じゃ週末は何処に行っているのさ」 「!」
アルフォンスの問いにエドワードは頬を染めて口を噤んだ。
「僕はてっきりマスタング先生の家に泊まっているんだと思っていたよ」 「あ〜〜〜〜そ、それは」 「それは?」 「まぁいいじゃねーか」
話を逸らそうとするエドワードに身体ごと向き直り。
「よくないよ!何処で寝泊りしているの?」 「………言わないと駄目か?」 「駄目!」
言い切るアルフォンスにエドワードは両腕に抱きかかえていたクッションに顔を半分埋めた。
「兄さん」 「………ホテル」 「え?」 「だから、ホテルに泊まっているんだよ」 「ホテル?!!」
声を大にして叫ぶアルフォンスにエドワードは人差し指を口唇にあて静かに!と注意をする。
「な、おかしいだろう。家じゃなくホテルだぜ。金がかかるってーのにさ〜」 「理由は聞いたの?」 「聞けるわけがないだろ!」 「何でさ」 「き………嫌われたらイヤだ……」
兄さん、乙女になってるよ。 というか、兄さん変わったよね〜。 マスタング先生のことになると途端に可愛くなるんだもん。 恋って偉大だな〜。
「な、どう思う」 「どうもなにも理由は一つだよ」 「?」 「家に見られたくない何かがあるから連れて行けないんだよ」 「見られたくないナニか………」
ギュっと両腕に力を込めてクッションに顔を埋めるエドワードにアルフォンスは失笑した。
「でもさ。色々と詮索するよりは本人に聞くのが一番だよ」 「でも!」 「大丈夫だよ。兄さんが我侭を言ったぐらいで嫌われたりはしないって」 「………」 「むしろ言って欲しいかもしれないよ」 「え?」 「兄さんは我慢の塊だから」 「アル!」 「本当のことだよ」 「うう〜〜〜〜」 「悩むより行動あるのみだと僕は思うな」 「そりゃそうしたいのは山々だけど………」
まだウジウジと悩むエドワードにアルフォンスは盛大な溜息を漏らした。
「もう!兄さんらしくないったら部屋がジメジメしちゃうよ!!」
ガタンと席を立ち、アルフォンスは携帯に手を伸ばし短縮ボタンを押した。
「あ、ウィンリィ。マスタング先生の家の住所知ってる?」 「ア、アル!」 「五月蝿いよ。兄さん」
ギロリンと睨みつけ、エドワードを黙らせアルフォンスはノートの端にロイの住所を書いていく。
「有難う。ウィンリィ」 『このお礼はして貰うからね』 「兄さんに言っておくよ」
携帯をオフにして机に置き、ノートの端を破きエドワードに手渡した。
「はい、マスタング先生の住所」 「アル」 「気になるなら行って確かめてきなよ」 「でも」 「でももくそもない!マスタング先生は兄さんのなに?」 「こ、恋人………」
その単語を口にした途端、顔を真っ赤に染めたエドワードにアルフォンスは苦笑するしかなかった。
「好きな人のことは何でも知りたいよね」 「!」 「その気持ちはわかるよ。それにマスタング先生も兄さんのことをもっと知りたいと思っているはずだよ」 「そ、そうかな」 「そうだよ。人を好きになって気持ちを伝えるってことはその人のことを独占したいからなんだよ」 「!」 「マスタング先生は冷静にみえるけど僕はかなり独占欲が強い人だと思うね」
うんうんと頷きながら言うアルフォンスにエドワードは目を瞠った。
「すげーアル」
感心するエドワードにアルフォンスは「凄くないよ」と照れ臭そうに呟いた。
「ほら、ボケッとしてないでコートを着て行った行った」 「えええ!今からか?!!」 「当然!今日は金曜日だから二泊できるね」
笑顔で言い切るアルフォンスにエドワードはちょっと待て!と叫び。
「泊まれるかはわからないだろう!」 「泊まれるよ。先生が兄さんを追い返すはずがないもん」 「追い返されたらどうするんだよ!」 「家に帰ってこればいいだけだよ」
アルフォンスの言葉にエドワードはポンと両手を叩いて。
「なるほど。じゃちょっくら行って来る」 「うん、気をつけてね」
アルフォンスの部屋を出て自室に戻り、携帯と財布そしてコートに袖を通したエドワードは家を後にした。 夜空の下かけて行く兄を窓から見送り、アルフォンスは携帯の短縮を押した。
「あ、ウィンリィ。何度もごめんね。マスタング先生の電話番号ってわかるかな?」
用心に越したことはないからね。
アルフォンスはノートに電話番号を書きとめ、ウィンリィに礼を述べてから切り、再度ボタンを押した。
「夜分遅くすみません。エルリックですが」
雪が降り始めた夜空を見上げながら、アルフォンスは用件を述べて電話を切り。
「兄さん、いい夜を」
そっと囁いて勉強に戻った。
白い息を吐きながらエドワードは改札を出た。 アルフォンスから手渡された紙にはロイの住所だけではなく最寄り駅と道筋まで書かれていた。
一体何処からこんな情報を仕入れるんだ?
感心しつつも胸中では二人に感謝してエドワードは一歩踏み出した。
その時。
青い車が滑りこむようにエドワードの前でとまった。 突然の出来事に驚き目を瞠っていると運転席から出てきたのは。
「ロイ!」 「やぁ、エディ」 「何でこんな所に?」 「それは私の台詞だよ」 「ヴッ」
呆れたように言えばエドワードは口を噤んだ。 ロイは微笑し、車を迂回して助手席にエドワードを促した。
「話は家で聞こう。さ、乗りなさい」 「う、うん」
助手席に乗り込みロイがドアを閉め、運転席に着きドアを閉める。
「家は直ぐそこだがシートベルトはしておきなさい」 「うん」 「どうした?今日は大人しいな」 「………ロイ、何故ここに?」 「エルリック弟から電話があってね」
車を発進させながらロイが言うとエドワードは目を見開いた。
「今から兄さんがそちらにお邪魔しますので宜しくお願いしますってね」 「アルの奴〜〜〜」 「キミを心配してのことだよ」 「…………」 「何かあったのかい?」 「なにも」 「こんな時間に私の所へ来てその台詞かい?」
デジタル時計に視線を向ければ二十一時十五分と表示されていた。
「ごめん」 「別に謝って欲しい訳ではないよ」 「………」 「聞かない方がいいのかな」 「………」 「エディ」
ロイの呼びかけにエドワードは両手をギュっと握り締めて。
「………ロイにさ」 「ん」 「ロイに聞きたいことがあって来たんだ」 「聞きたいこと?」 「うん」 「私に答えられることならなんでも」 「………本当か」 「ああ」
コクンと唾を飲み込んでエドワードはロイに顔を向けた。
「何故今までロイの家に連れて行ってくれなかったんだ」 「………はい?」
エドワードからの問いにロイは一瞬思考がとまった。
「あ、や、その、だから付き合い始めて一ヶ月経つけどその間、ロイの家に招いてくれなかっただろ」
エドワードの言葉に耳を傾け意味を悟ったロイは笑みを漏らした。
「なるほど、それでこんな時間に奇襲をかけたのかい」 「き、奇襲をかけたつもりはない!」 「わかっているよ」 「アルに………悩むぐらいなら直接本人に聞けって言われて………」 「フム、それは一理あるな。私とエディは恋人同士なのだから悩むぐらいなら聞いて欲しいね」 「じゃ答えろ!何で家に連れてきてくれなかったんだよ」 「簡単だよ。建築中だったんだ」 「…………………………………………………………………へ?」 「古い家だったからね。前の地震でとうとうガタがきたらしくてそれじゃ建て直しをってことになってね」 「建て直し………」 「そうだよ。それで一昨日出来上がって昨日家具と荷物を家に詰め込んだんだ」 「え、じゃ、週末に泊まっていたホテルは」 「仮住まいだよ」 「へ?」 「本当はマンションを借りる予定だったのだが、気に入った所がなくてね。祖母が経営しているホテルに転がり込んだわけだよ」 「………そう……だったんだ」
呆然と呟くエドワードにロイは苦笑して。
「謎は解けたかい」 「うん」 「それは良かった。で」 「?」 「泊まっていくのだろ」 「!」
ボンっと顔を真っ赤に染め、俯きながらも頷くエドワードにロイは優しく微笑んだ。
可愛いな。
「夕食は?」 「あ………まだ」
食事どころじゃ無かったからな〜。
夕食を食べてないこと思い出したら急にお腹がすいたと思うや否やなった。 一瞬遅れてロイが声を上げて笑い、エドワードは恥ずかしそうに顔を背けた。
「それじゃ何か食べていくとしよう」 「あ、オレ寿司がいい」 「寿司か。それはいいがもう時間が時間だからな」 「?」 「いいネタを食べようと思ったら早く行くほうがいいんだよ」 「そうなんだ。じゃ焼き肉」 「了解。それではお勧めの店に御案内しましょう」
ハンドルを切り、速度を上げて。
「エディ」 「ん?」 「これからは知りたいことがあれば何でも聞きなさい」 「ロイ」 「一人で悩むのはキミはらしくないからね」
ウィンクして言うロイにエドワードは頬を染めながらも嬉しそうに微笑み。
「うん、そうする」
有難う、ロイ。
やっと笑顔を見せてくれたエドワードにロイは内心、安堵した。
キミには笑顔が一番似合うよ。
そう、胸中で囁いて二人を乗せた車は夜の街を駆け抜けた。
END
04/12/07UP
こちらもWeb拍手にてUPしたお話で片思いの続きとなっております。
エドが乙女で書いた己自身、身悶えました(><)
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