| 赤々と燃え上がる暖炉の前に座り、ロイはグラスを傾けていた。 その背中はとても寂しそうで………。 「ロイ」 今は真冬。 ロイの肩に毛布をかけてエドワードは横に腰を下ろした。 「エディ」 「パジャマ姿で風邪を引くだろう」 「ああ」 「どうした?眠れないのか」 「………」 その言葉に返答せずロイはブランデーをグラスに注ぎ、一気に飲み干した。 ロイらしくない飲み方にエドワードは顔を顰めた。 昼過ぎ、帰りが遅くなると電話があった。 その時、ロイの声は少し擦れていたので何かあったのか、と問えば書類が溜まっていてねと返された。 だが。 これは何かあったんだな。 「ロイ、夕食は?」 「食べてない」 「おい、食事もとらずに酒を飲むなよ。たく、何か作って」 「いらない」 「でも」 「いらないから………ここに」 クイとエドワードのパジャマの裾を掴むロイに視線を向ければ暖炉を見詰めたままで。 エドワードはその場で両膝をつき、両腕でロイの頭を胸に抱きしめた。 「っつ」 「なーに一人で耐えてんだよ」 「何も」 「ん〜〜〜聞こえないな〜〜〜」 ギュギュギューーーーーーと抱きしめる力を増せばロイはギブギブとエドワードの右腕を叩いた。 「話す?」 「詰まらないことだよ」 「だとしても一人で溜めておくよりはマシだろ」 「エディ」 「オレはロイのなに?」 「最愛の妻」 「その妻に話せないことは何も無いだろ」 ニカッと笑ってやればロイは眦から一筋の涙を零して。 「かなわないなー」 「当然!ロイの妻だからな」 胸をはって言い切れば、ロイは両腕をエドワードの背中に回し抱きしめて笑った。 その笑顔はいつもの………エドワードが好きな笑顔で。 嬉しくて。 嬉しくて。 エドワードは漆黒の髪を指に絡め口唇を落とした。 「ね。ロイ」 「ん」 「どんな辛いことがあっても………一人で耐えようとしないで」 「エディ」 「寂しいから」 そんなロイの背中を見ることが寂しいから………。 だから。 あなたの背負っているもの全て、ううん、少しでもいいからオレにも背負わせて。 「………ここは寒いな」 「ん」 ロイの言葉を察したエドワードは両腕を首に絡めた。 逞しい両腕が優しくエドワードを抱き上げ、二人はリビングを後にした。 赤々と燃え上がった焔は少しずつ小さくなり点りが消えていった。 END 05/06/28UP |