□ 偏食 □











 ◇ ◇ ◇

「エディ」
「ん〜〜〜」

 ソファに寝転がり、パリンとポテトチップを頬張ったエドワードが顔を上げれば、学ランを着たロイが眉間に皺を寄せて立っていた。

「お帰り〜」
「お帰り、じゃない。またポテチなんか食べて、夕飯が食べれなくなるぞ」
「ん〜〜〜その時はその時だし」
「エディ!」
「うっさいな!オレの勝手だろ。ロイに迷惑をかけてねー!!」
「かけてないじゃないだろ。成長期のお前がお菓子ばかりを食べていたら、身長が伸びにくくなるぞ」
「ヴッ」
「それでいいなら、食べてろ。但し、今晩からお前の夕飯は作らないからな」
「え〜〜〜〜」
「当然だろ。食べるか食べないかわからない奴の為に作って捨てることになれば、材料が勿体無いだけだ」
「横暴だ!」
「そうか?食費のことを考えたら当然だと思うがな」

 ロイはそれだけを言い残し、自室に足を向けた。
 それを見送って。

 そんなことを言ってもロイは優しいから作ってくれるしな。

 などと、安易に考えていたエドワードは数時間後に後悔することになった。

「な、な、な!」
「な?」
「何でオレの夕飯がないんだよ!」
「言ったらだろ。作らないって」
「な!」
「今までの私だったら注意しても作ってはいたが、今夜からは心を鬼にしてエディに接していくつもりだ」
「!」

 本日の夕食、グラタンから顔を上げて。

「夕食が欲しければ、お菓子を食べるのを止めろ」

 ニッコリと笑ってエドワードに言った。

「それってお菓子を食べたら夕食は作らない、と」
「そうだな。お菓子を食べたら夕食をいらないととる」
「!」
「それが嫌なら、お菓子はやめろ」

 フォークでグラタンをすくい、口に頬張るロイを見つめてエドワードはお腹を鳴らした。

「お腹が空いた」
「そうか」
「美味しそう」
「当然だ。私が作ったんだから」
「食べてー」
「お菓子がいいんだろ」
「ロイ〜〜〜」
「泣いても駄目」
「ロイ〜〜〜」
「明日から気をつけるんだな」

 ロイは徹底的にエドワードを無視して、食事を続けた。

 その夜。

 エドワードはお腹を鳴らしながら、ベッドにはいった。
 それを横目にロイは小さく笑って。

 これに懲りて、明日からはお菓子を食べるのを控えるだろ。

 欠伸をしながらベッドに入った。





      +      +





 翌朝。

「ロイ、ロイ!お腹すいた〜〜〜」

 お腹を鳴らし、騒ぐエドワードの姿があった。

「お菓子を食べたらどうだ?」

 台所に立っていたロイがフライパンを片手に意地悪く言えば。

「ロイの手料理がいい!!」

 その言葉にロイは満面の笑顔を見せた。

「わかったよ。エディ。おはよう」
「おはよう、ロイ」

 朝の挨拶をして。
 美味しい朝食をいただきましょう。

「「いただきます」」





   END



   07/01/19UP