□ 甘く包まれて □










「………エディ」
「ん?」

 渡り廊下を歩いていたロイは足を止め、視線だけ周囲を巡らせてから、隣にいる妻に視線を戻した。

「皆、なんだかそわそわしているように見えるのだが?」
「当然だろう。明日はバレンタインだぞ」

 そういわれて、ロイはああ、と相槌を打った。

「そういえば、そうだったな」
「忘れていたのか?」

 珍しい、といわんばかりにエドワードが目を丸くして問えば。

「私にはキミさえいればいいからね」

 と、素面で言い切るロイに赤面したエドワードだった。


 相変わらず、新婚熱愛夫婦である。





「あずき?」
『ええ、母が送ってきてくれたの』

 午後の昼下がり。
 ロイにお茶でもと腰を上げたその時にリザから電話がかかってきた。

「じゃ、今年も作るの?」
『ええ、そのつもりよ』

 腕がなるわ〜と嬉しそうに言うリザにエドワードは苦笑を漏らした。

『でも、今年は多くてね。貰ってくれないかしら?』
「それはいいけど………」

 甘いものが余り好きではないロイが食べてくれるかどうか、と言葉を濁せばリザは楽しそうに笑って。

『そうだったわね。でも、エドが作ったものなら食べてくれるわよ。昨年のバレンタインもそうだったじゃない』

 あれは見ものだったわ〜と言い切るリザにエドワードは頬を染めて俯いた。

 昨年のバレンタイン。

 甘いものが苦手なロイの為にチョコ以外のものを上げようと用意したのだが、リザがバレンタインはチョコよ!と言い張り、それはそれは超甘〜〜〜いチョコの固まりをエドワードに手渡したのだ。
 もちろん、エドワードにはビターのチョコだと告げてー………。
 リザの言い分も一理あると思い、エドワードはそのチョコを使い菓子を作った。

 そして。

 バレンタイン当日。
 二人してリビングの床に座り、休暇を満喫していた昼下がり。
 グリーンのマフラーとチョコを手渡した。
 マフラーは喜んでくれたけど、やっぱりというか予想通りラッピングした紙を剥ぎ取るなりロイは固まった。

『これはチョコ………かい』
『う、うん。あ、でもビターだからロイでも食べられるよ』
『ビター?』
『甘さは殆どないって言っていたから大丈夫!』

 リザからはそう言われていたのでそのままをロイに告げた。
 ロイはじっとチョコを見つめてから、一粒を手にし口にした。
 その途端、ロイは口元を両手で塞ぎ、上体を前倒して額を床につけた。

『ロ、ロイ?』

 呼んでも返事はなく、ただただ身体を震わせて何かに耐え、そしてゴキュとチョコを飲み込むと同時に身体を起き上がらせ、テーブルに置いてあったお茶を一気に飲み干した。
 カップを置いて、一息ついてからロイはエドワードにニッコリと笑って美味しかったよと言葉にした。
 だが。
 その顔は強張っており、とても美味しい物を食べた顔には見えなかった。
 エドワードは眉間に皺を寄せ、チョコを一つ手に取り口に放り込んだ。

『んっ』

 あ、甘い!!
 激甘!!!
 ど、どうしっ………!

『リザ義母さん!!』

 騙されたことにエドワードは頭を抱え、ロイに謝罪した。
 そして、チョコを下げようとしたが。

『それは私にくれたものだろう』

 そう言って甘いチョコは全てロイの口におさまった。
 それを間近で見ていたエドワードは目を見張り、そして潤ませて。

『ありがとう』

 ロイの腕に頭を預けて礼を述べた。
 

 本当にあの時はロイの愛を身で感じた。
 あ、いや、別の意味で毎晩感じているにはいるんだが………。

『ぜんざいは糖分の加減ができるから大丈夫よ』
「そうだけど」
『じゃ決まりね。明日、取りに来て』
「明日?」
『そうよ。明日はエドと少将は休みでしょう』

 久しぶりに一緒に作りましょう、と誘われてエドワードは昼頃にロイと共に行くことを伝えて受話器を置いた。

「ぜんざい、か」

 結婚する前はリザ義母さんと一緒に作ったな〜。
 ってあれ?

「毎年一月三日に作るのに………」

 首を傾げながら、エドワードはお茶を入れようと席を立った。





「明日?」
「そう、オレもロイも休みだから、リザ義母さんが遊びに来いって」

 エドワードがコーヒーとお茶菓子をトレーにのせ執務室に顔を出し、先ほどの電話のやり取りをロイに話した。

「………それだけかい?」
「あーと、ぜんざいを食べていけって」
「ぜんざい?」
「うん」

 訝しげに尋ねるロイにエドワードは満面の笑顔で答えた。

「ぜんざい、とはなんだね?」
「え、知らない?」

 頭を左右に振るロイにエドワードは目を丸くした。

「知らない。そういう食べ物の名も聞いたことが無いぞ」
「え?!」

 あ、そういえばリザ義母さんが言っていたな。
 ぜんざいは日本という国の食べ物だ、と………。
 リザの母が日本好きで、今では夫婦仲良く日本に在住していた。

「ご、ごめん。オレは小さい頃から当たり前のように食べていたから、ぜんざいは日本という国の食べ物なんだ」
「日本。あの小さな島国か」
「そう、そこにリザ義母さんのお父さんとお母さん、オレからは祖父ちゃんと祖母ちゃんになるんだけど、その日本の文化と食に心打たれて住んでいるんだ」
「ほう」
「で、何かかしらと送ってきてくれる中にあずきがあって、それでリザ義母さんが『ぜんざい』を作ってくれるんだけどそれがすっごく美味しくて、祖母ちゃんが日本食に惚れ込むのもわかるよ」
「そんなに美味しいのか?」
「うん、すっごく!」

 興奮気味に頷いて答えれば、ロイは微笑して。

「そうか。それは明日が楽しみだな」
「うん!」

 温かい日差しが注ぎ込む中で、二人はほのぼのとお茶を口にした。


 
      ◇ ◇ ◇



 翌日。
 昼過ぎに二人がブラッドレイ邸に着くや否や、甘い匂いが出迎えてくれた。
 ロイは思わず後ずさる。

「な、何だ?この匂いは」
「何ってリザ義母さんがぜんざいを炊いているんだと思うけど」
「ぜんざい?もしかしなくても、それは甘いのかね」
「え、そうだけど………ってオレ言ってなかった?」
「言ってない!」

 ロイが頭を抱え、エドワードが謝罪しているとリビングからアルフォンスが顔を出して。

「兄さん!ロイ義兄さん!!」

 久々に会う兄に嬉しそうに駆け寄りロイの胸に飛び込んだ。

「お久しぶりです。元気にー………してませんでしたか?」

 アルフォンスが顔を上げれば、そこには青い顔をしたロイがいた。

「い、いや、元気にしていたよ。この匂いを嗅ぐまでは」
「匂い………ああ、ぜんざいの」
「ロイは甘いものが苦手だからな」
「あ、そうだったね。でも、リザ義母さんの作るぜんざいはそんなに甘くないから大丈夫ですよ」
「の、割にはかなり甘い匂いがするのだが………」

 確かに、毎年ここまで甘い匂いはしなかった。

 青ざめるロイをアルフォンスに任せ、エドワードはキッチンに足を向けた。
 すると。

「な!」

 キッチンに漂う甘い匂いに思わず眉間を顰めた。

「あら、エド」
「あら、じゃないよ。どしたの?この匂い」
「ああ、ちょーっと砂糖を入れすぎてね」
「へ?」

 そう言ってリザが掲げたものは砂糖が入っていただろう空っぽの袋。

「も、もしかしなくてもこれ全部いれたの?!」
「そうなのよ。手が滑っちゃって」
「や、滑っちゃってじゃなくて、さじで入れるものだろう」
「面倒だから目分量で入れたのよ」
「リザ義母さん………」
「でも、この甘さならエドとアル、キングは食べられるわよ」

 スプーンですくいそれをエドワードの口元に寄せた。
 エドワードはそれを口にして。
 
 確かに、この甘さなら餅と一緒に食べればオレとアルそして、キング義父さんは食べられる。
 でも。

「ロイは無理だよ」
「そうかしら」
「そうだよ。これじゃ匂いだけで倒れてしまうよ」

 つか、もう既に倒れていると思うけど。
 今頃アルが介抱してくれているだろう。

「じゃ作り直しかしら」
「あずきはまだ残っているの?」
「ええ、たっぷり。残ったら明日中央司令部の食堂に持っていくつもりだったし」
「中央司令部に?」

 そんなにもあるのか、と目で問えばリザは苦笑してキッチンの奥を指した。
 そこには大きな皮袋が二つ。

 ま、まさか。

 歩み寄り、中を覗いてい見ると。

「あずき………」
「お母さんにも困ったものね」
「じゃ餅も」
「ええ、たんまりと」

 皮袋の横に大きなダンボール。
 その中は餅が山ほど入っていた。

「な、なんで?」
「さぁ、お母さんは沢山貰ったからとしか言ってなかったけど」
「沢山貰ったって言っても」

 これは多いだろう、と胸中で突っ込みながらも、送ってくれた祖父母に感謝した。

「砂糖はある?」
「ええ、あるわよ」
「じゃ作るとするか」
「あら、それなら私が」
「いや、いい。ロイのはオレが作る」
「あらあら、独占?」

 それもあるかもしれないけど、またリザ義母さんに作らせると目分量でやりかねない。

「そう思ってくれていいよ。リザ義母さんは餅を焼いて」
「はいはい」

 エドワードは鍋をもう一つ取り出し、水と昨晩水に浸したあずきを入れて炊いた。
 煮だったら湯を捨てて、再度水を鍋に入れ炊く。
 そして煮だってきたら、塩と砂糖を入れてくつくつと炊く。
 それが、祖母ちゃんの直伝ぜんざいの作り方だ。
 今回はロイが食べるものだから、砂糖はなるべく少なくしないと。

 そう思って慎重に作っていると。

「兄さん」
「アル、どうした?」
「ロイ義兄さんにアルバムを見せたいんだけど、兄さんのアルバムは何処に置いたの?」
「は?アルバム?何でまたそんなものを」
「えっと、気を紛らわせるため」

 てへ、と可愛く言うアルフォンスにエドワードは苦笑して、鍋をリザに任せキッチンを出た。
 リザはエドワードの背中を見送って。

「砂糖、少なかったわね」

 じっと鍋を見つめて。

「ちょっと足しても………いいわよね」

 砂糖の袋を手にした。





 部屋からアルバムを片手にリビングを覗けば、ソファで寛いでいるロイが振り返る。

「気分はどう?」
「随分とマシだよ。アルフォンスがいいものを見せてくれたからね」

 テーブルの上はアルバムの山で。

 どこからこれだけのアルバムを持ってきたんだ?

「キングお義父さんの部屋からだよ」
「オレ、声にしていたか?」
「ううん、顔に出ていた」

 エドワードは思わず片手で顔を覆った。

「エディもアルフォンスも可愛いね」
「でしょう。兄さんなんか、肌白いし、目は大きいしでよく女の子と間違われていましたよ」
「だろうね」

 ロイが見下ろした写真には、可愛く着飾ったエドワードの姿があった。

「うっわわ〜〜〜、見るなよ!」
「何故?可愛いじゃないか」
「可愛くねーよ!」
「可愛いよ」
「アルまで!」

 酷い!と怒鳴れば本当のことだもん、と言い返された。

「この着ている服はなんだい?」
「ああ、これは着物ですよ」
「着物?」
「お祖母ちゃんが日本から帰国した際に持って来てくれたんです」
「ではこれは日本の服なのかい」
「みたいですね。僕が着ているのは男が着るもので、兄さんが着ているのは」
「女物」
「そうです」

 黒の着物に黒と白のストライブの袴を着たアルフォンス。
 その隣には黒地にピンクの綺麗な花と鳥を描いた振袖の着物に腰にはゴールドの帯を巻き結び、髪をアップし軽く化粧をしたエドワード。

「綺麗だ」

 ロイは目を細めて熱っぽく言った。
 その言葉を隣で耳にしたエドワードは顔を真っ赤に染めた。

「この時、リザお義母さんが一番喜んでいて」

 終始笑顔で片手にカメラを持っていたんだ〜、とアルフォンスが思い出し笑いをしながら言う。

「ああ、そうだったな。あの日はカメラのフラッシュが絶えなかったもんな〜」

 遠い目をするエドワードにロイは大体の想像ができた。

「もう、着物は着ないのかい?」
「ロイ?」
「私も見てみたいな」

 エドワードにニッコリと微笑むロイ。

「僕も!」
「お前は見ただろうが!」
「え〜」
「え〜じゃない!それにこの服は苦しくて着てるこっちは辛いんだぞ!!」

 もう好き勝手言いやがってって。

「あ、ぜんざい!」

 アルバムをロイに手渡して、エドワードは慌ててキッチンに走った。
 キッチンを覗けば、リザが鍋をゆっくりと混ぜていた。

「ごめん。リザ義母さん」
「いいのよ」

 鍋を覗けばくつくつと美味しそうに炊けていた。

「もう少し炊いた方がいいわね」
「うん」
「キングももうそろそろ帰ってくるだろうし、夕食も食べていきなさい」
「でも、キング義父さんが」
「気にすること無いわ。少将が苦労するだけだから」

 きっぱりと言い切ったリザにエドワードは苦笑して。

「いや、だからそれを言っているんだけど」
「いいじゃない。最近はめっきり顔を出してくれなくて私もキングも寂しかったのよ」
「リザ義母さん」
「ね、いいでしょう」

 そう言われてしまえば否とは言えず、胸中でロイに謝罪しながらエドワードは頷いた。

 そうして。

 美味しそうに炊けたぜんざいと焼けたお餅をお椀に入れて蓋をし、それをトレーに乗せてリザとエドワードはリビングに向かった。

「お待たせ〜」

 エドワードの掛け声でアルフォンスは顔を上げて待ってましたと言わんばかりに満面の笑顔を向けロイはアルバムを片付けた。

「美味しく出来たぞ!」

 テーブルにお椀と割り箸を置くと、ロイが首を傾げて。

「これは何だ?」
「割り箸だけど」
「割り箸?」
「そう、それで食べるんだ」
「どうやって?」
「こうやって」

 エドワードは割り箸を右手で持ち、ロイに見せた。
 ロイはじっとそれを見つめてから、箸を手にしたが。

「………持てない」

 ペンの持ち方とよく似ているにも関わらず、持てない。
 何故だ?

「難しいよな〜。オレも最初は持てなかったし」
「そうなのか」
「そうそう、祖母ちゃんに何度も教わってやっと持てたんだ。それまではフォークと同じ持ち方でさ。その度に祖父ちゃんに怒られたんだ」
「アハハ、あのハリセンは痛かったよね〜〜〜」

 のほほんと言ってのけるアルフォンスにエドワードは頷いた。

「日本の文化を愛してやまないからね」

 父と母は、と微笑しリザはお椀の蓋を開けた。

「さ、温かいうちに戴きましょう」
「そうだね」
「ロイ、食べれそう?無理ならフォークを持ってくるけど」
「いや、これでいい」

 これでいいって言われても手が震えているけど………。

「「「「いただきます」」」」

 のびる餅にアルフォンスは喜び、あずきと一緒に頬張った。

「ん〜〜〜美味しい!」
「お代わりはあるわよ」
「本当?餅も」
「ええ」

 リザとアルフォンスがやり取りをする横でロイがぜんざいをじっと見下ろしていた。

「ロイ、食べないのか?」
「………」
「甘さは大丈夫だぞ。オレが直々に作ったから」
「そうなのか?」
「うん」

 それならばとロイは決意を固め、ぜんざいを口にした。
 その途端、固まった。

「な、美味しいだろ。甘さも控えめにしたしー………ってロイ?」

 ゴクリ、と喉を鳴らして飲み込むや否や、ロイはお椀をテーブルに置いた。

「エディ」
「ん?」
「水をくれないか」
「へ?」

 水?
 怪訝そうに俯いているロイの顔を覗けば青い顔をして何かに耐えているかのようで、エドワードは慌ててキッチンからコップいっぱいの水を汲んで戻った。
 差し出せばそれを一気に飲み干し、ロイは一息ついてエドワードに視線を向けた。

「エディ、塩と砂糖を間違えてないかね」
「へ?そんなわけねーよ」
「だが、これはかなり甘いのだが」
「?!」

 エドワードはロイのぜんざいに口をつけた。

「んな!」

 甘い?!!
 え、だって味見した時はこんなにも甘くはー………。

 エドワードは暫く考えてから、リザに視線を向ければ慌てて視線を逸らした。

「リザ義母さん!」
「な、なにかしら〜〜〜」
「なにかしら〜〜〜じゃない!オレが離れた隙に砂糖を足しただろう!!」
「あら、知らないわよ」
「嘘だ」
「嘘なんてついてないわ」
「じゃなんでさっきから目を逸らすんだよ」

 口元は笑みを浮かばせながら、視線を泳がせるリザにエドワードが指摘した。
 
「それは〜〜〜」
「リザ義母さん」
「だ、だって、砂糖が少なそうだったから」
「少なくていいの!ロイのぜんざいだったんだから」
「甘い方が美味しいじゃない」
「リザ義母さん」
「まぁまぁ、兄さん。そんなに目くじらたてて怒らなくても」
「怒るよ。これ、オレ達のぜんざいと同じぐらいの甘さだぞ」
「え?本当に」

 アルフォンスにお椀を手渡すと汁を一口飲んで。

「本当だ」
「リザ義母さん」
「………」
「これってまた砂糖を目分量で入れただろ」
「ちょっと足そうと思っただけなのよ。砂糖の袋を傾けたらそのままどばっと………」

 どばっとですか。

 ロイとエドワード、アルフォンスは胸中で突っ込み、溜息を吐いた。

「ロイ、ごめんな。今から作り直すから」
「いや、これでいい」
「でも」
「いいんだ」
「あ、じゃ餅だけ食べろよ。汁は口にしないでいいから」
「エディ」
「食べてくれるのは嬉しいけど、青い顔をしたロイを見るのは辛いよ」
「エディ………」

 ロイの頬を撫でるように添えれば、顔を傾けエドワードの手のひらに口付けた。

「うわ〜〜〜二人の世界に行ってしまったね」
「そうね」
「リザお義母さん」
「なに?」
「ワザとでしょう」
「何が?」
「砂糖だよ」
「あら、違うわよ。手が滑っただけよ」
「本当に?」
「本当よ」
「兄さんを独占するロイ義兄さんをちょっと懲らしめようと思ったんじゃないの?」
「あら、そんなことあるわけないじゃない。あの人じゃあるまいし」

 ニーッコリと満面の笑顔で答えられたら、アルフォンスはそれ以上何も言えなかった。
 澄ました顔でぜんざいを食べるリザからハート乱風の二人を横目に、アルフォンスは笑みを零した。

「愛されているな〜。兄さんは」

 そうして。
 ぜんざいを食べ終わる頃にキングが帰宅するや否や、ロイを目に留めて。

「勝負だ!!」

 と持ちかけたのは言うまでもない。
 これは既にエドワード云々ではなくなりつつある光景だ。
 けれど。
 こうやって家族が揃って談笑できるのは嬉しい。

 キングお義父さんが養子にしてくれなかったら、この光景も無かった。
 温かい家と家族。
 幸福だと思える日々に感謝して。
 さてと。
 そろそろ止めないと、ね。

 アルフォンスはキングとロイの元に足を向けた。





   −終−



   06/02/16UP






久々のサイトUPです。
長いこと放置すみません〜〜〜。
今回はバレンタインということで書き上げたつもりでしたが、話の方向が違うっすよ自分。
申し訳ないっす。
ぜんざいの件は実話です。
東京から帰ってきてぜんざいを作ったというので食べたらかなり甘くて何で?と母に問えば目分量で袋ごと砂糖を入れていたらドバッと入ったそうです(笑)
でも、久々に食べたぜんざいは美味しかったです。
書いている最中に食べたいと思うほどでした。